振り返って、接吻
「どうするの、オマエを殺さないと俺の欲求満たされなかったら」
合間に、無駄口をたたく。ロマンチックに溺れるのは、まだ、怖い。
次に落とすのは、宇田の白くて細い喉。噛み付いたら美味しそうなそれ。
喉へのキスは、独占欲の現れ。本能の部分が勝ってしまって、首筋を、歯形が残るくらいの強さで噛んでみた。
初めてのことなので作法なんて知らないまま、そこを軽く吸って、ゆっくりと舌でなぞる。
顔を離せば赤く跡が残されているのを見つけられて、キスマークってこんなもんか、と知った。じょうずにできたそれは、“花を咲かせた”よりも、“傷をつけた”という表現がしっくりくる。
さすがに痛みが走ったらしく小さな反応をして見せたけど、されるがままの宇田は、想像以上にはっきりとした声色で会話をつづけた。
「由鶴になら、喜んで殺されるよ」
首へのキスは、執着心。
わかる、俺もオマエに殺されるなら本望だから。
ゆったりとしたソファとはいえ、ふたりで並んで寝るのに十分な広さは無い。俺は仰向けになる宇田の両脇に肘をついて、上に覆いかぶさった。
無理やり襲っているみたいな図だなと思うけど、それはあながち間違いではない。
「脱がせてもいい?」
「お好きに」
それを聞いて、俺は宇田の学生服をするりと脱がせた。緊張で指が震えることもなく、こんなときにも外見は冷静な自分がいる。
上半身は下着姿、そこに規則正しいプリーツスカートとハイソックスが禁忌的な色気を魅せてくる。スカートからは白くて柔らかな太ももが覗いていて、今まで気にしてこなかったのに、もうだめだ。