振り返って、接吻
俺らはこれまでの人生で様々なことを学んできたはずなのに、いまだにふたりが離れて生きる術を知らない。
それに、できることなら、知りたくもない。
「だからね、わたしの隣の由鶴が少しでも自由に行動できる関係を探したの」
「それが、政略結婚、なの?」
冷静でミステリアスな副社長はどこにもいない。宇田の前での俺は、どうしようもなく、ただの成人男子だ。なんなら少年から成長してないかもしれない。
だって、オマエがいてくれるだけでいいんだ。俺は自由なんて要らないから、オマエが安心するなら首輪で繋がれたって嫌じゃない。
本音を言うなら、そう。だけど、そう思うこと自体が宇田への依存に繋がっていることは分かってる。