振り返って、接吻

俺の寝室は、期待通りに殺風景だ。宇田がいると、なんだか少しだけ華やぐ気がした。

両手を重ねて頭の下に挟んだ横向きの宇田と、肩肘をついた姿勢で向かい合わせになる。ダブルサイズのベッドは狭くないけど、ふたりだと広々っていうわけにはいかない。


「由鶴、もう寝る?」

「オマエの気が済むまで付き合うよ」

「じゃあ、お話してもいい?これからのこととか!」


ふたりで被った布団は、チェック柄のブランケットだ。まだウールを使ってるけど、そろそろタオル地に替えようかな。梅雨が明けたら夏仕様に模様替えしよう。カーペットも買い替えたい。

こうやってふたりで眠るなら、ひとりのときとは湿度や温度も変わってくる。


握った手の中にある小さな貴金属だけが、ひんやりと冷たい。



「ねえ、提案なんだけど、」


俺は肩肘をついているせいで少しだけ見下ろす位置から、宇田と目を合わせて言った。

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