振り返って、接吻
静かな夜。脳内では警告音が鳴りやまない。
いよいよ、隣に宇田がいても眠れなくなってしまった。宇田が“いる”ということは、宇田が“いなくなる”ということ。
目を覚ましたときに宇田がいなくなっていたら、などと考えて、もう、闇に飲み込まれている。
依存、だ。
将来が有望で、無限の可能性を背負っているこの女。その重荷にだけはならないようにしてきたつもりだけど、とうとう俺はこいつの邪魔になりそうな気がする。
でも、どうしたらいい?物心ついたときから俺の思考は宇田を中心にしか動かないから、宇田から離れることなんて、文字通り、考えられない。想像もできないのだ。
ほんとうは、俺だけの宇田凛子でいてほしかった。
俺とふたりだけの世界に閉じ込めておきたかった。