振り返って、接吻
うつくしい深月由鶴は、ここにいない。
宇田の前で見せている俺はほんの一部、自分のきれいな部分だけだ。
この恋人は決して股が緩い馬鹿ではない。そういう不衛生な女は嫌いだ。 それに、あまり緩い女を相手にしていると俺の品格が下がる。それは俺の家と宇田にも影響するから、よくない。
「由鶴くんって、っあ、ん」
「俺が、なに?」
「っああ、ドエス、ッ!」
俺に見下ろされたまま散々鳴かされた恋人が、振り返って、喘ぐように言った。
まったく、何にも分かってないなあ。
俺はくつりと喉の奥で笑って、耳元に唇を寄せて甘く囁く。
「なに言ってるの、俺は女に尽くすタイプだよ」
そして、恋人の首筋に舌を這わせて攻め立てると、理性も崩れた彼女は泣きじゃくりながら快楽に溺れていく。
たしかに、行為の最中は加虐嗜好があるけれど、俺の精神はまちがいなく首輪をつけられておきたいほうだ。
だって、俺は宇田の犬だもん。