妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
第一章 聖女追放
 ドルマニア王国の王都の中央には、エルフォーニアの大樹と呼ばれる木がある。
 この大樹を中心に王国は成り立っているといっても過言ではない。なぜなら、大樹はドルマニア王国の大地に恵みを与えているからだ。

 大樹の根は、非常に入り組んでいるらしく、それはこの国の各地まで伸びているらしい。
 そして、その根によって、大地は豊になるそうだ。不思議なことではあるが、この大樹は、大地に栄養を与えてくれるのである。

「聖なる大樹よ、我が偉大なる魔力を糧とし、我らに恵みを与え給え……」

 その栄養の源になるのは、魔力と呼ばれるものだ。
 魔力というのは、人間や動植物に宿る不可思議な力のことである。その力を大樹は大地に与えることによって、豊作を支えているらしい。

 といっても、大樹に無限に魔力が宿っている訳ではない。そのように大地に魔力を与え続けては、大樹は枯れ果ててしまう。
 そのため、誰かが、この大樹の魔力を与えなければならない。その役割を担っているのが、私なのである。
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