妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
「……詳しいことは、後で話します。先生は、とりあえず休んでいてください。私達は、先生が休んでいた部屋に向かいますから」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫です。私の実力は、先生も知っているでしょう?」
「それは、そうですが……」

 私の言葉に、先生は苦笑いしていた。
 魔法の実力では、私の方が上である。それを理解しているため、そんな表情をしているのだろう。
 心配する気持ちが、それで拭えるものではないことは私もわかっている。しかし、今は一刻も早く行動したいので、少し嫌な言い方ではあるが、こういうしかない。

「フェルーナ殿、兵士の一人にパストマン教授が休んでいた部屋へ案内してもらうように頼んでおいた」
「アグナヴァン様……ありがとうございます」

 私の話を聞いたアグナヴァン様は、すぐに動いてくれた。
 こうして、私達は先生が休んでいた部屋に行くことにするのだった。
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