妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
 質問の答えに、私は首を傾げることになった。
 それは、答えになっていない。私達が復讐の対象にどうしてなるのだろうか。

「どうして、私達が復讐対象になるのかしら? 私とあなたには関わりなんてないはずじゃない」
『関わりはある。あなた達は、忌々しい姉の子孫なのだから』
「子孫? 私達が?」

 エルネリスの言葉に、私は驚くことになった。
 彼女が差しているあなた達というのは、どうやら私とホーネリアのことのようだ。
 私の家系で、姉妹で争いがあったという話は聞いたことがない。だが、長い歴史のある家なので、それは別におかしい話ではないだろう。

「自分を殺した姉の子孫である私とホーネリアを苦しめようと思っていたの?」
『その通り……私を苦しめた姉の子孫が健やかに過ごしているなんて、耐えられないもの』
「なんと、身勝手な……」

 エルネリスの呟きに、アグナヴァン様は忌々しそうに声をあげた。
 姉に殺されたという彼女の境遇には、同情するべき点もある。
 だが、その子孫を苦しめてやろうという考えは、性根が腐っているように思えるものだ。それは私が被害者の立場だからなのかもしれないが。
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