妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
「ありがとう、あなたのおかげで色々とわかったわ」
『……はっ! 私は何を?』

 聞きたいことは聞けたので、私はエルネリスを元に戻した。
 いつまでも操っていてもいいのだが、それは魔力を大きく消費する。それは、できれば避けたかったのだ。

『フェルーナ! 私に何をした?』
「それに答える義理はないわね。そもそも、あなたにそんな風に呼ばれたくはないわ」
『忌々しい……今まで、私にいいように扱われていた分際で』

 エルネリスは、本当に忌々しそうに顔を歪めていた。
 彼女にとって、私はホーネリアを使って弄んだ存在だ。そんな私に優位に立たれているという現状は、ひどく気に入らないものだろう。

「さて、これからあなたをどうしようかと私は考えていた訳だけれど、そろそろ結論を出しが方がいいかもしれないわね?」
『……何をしようというの?』
「あなたは、悪霊でしかない。それなら、それに見合った結末が必要でしょう?」
『ま、待って……』

 私の言葉に、エルネリスは一気に表情を変えた。
 今から私が何をしようとしているのか、それを理解したのだろう。
 しかし、待てと言われて待とうとは思わない。私も、今まで彼女に散々苦しめられてきたからだ。
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