妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
「ないものをねだっても仕方ないことではあるけれど……うん?」

 そこで、私はとあることに気づいた。
 私の体に、魔力は残っていなかったはずだ。
 だが、私は感じている。自分の体に何かが流れていることに。

「魔力が戻った? でも、どうして……?」

 魔力というものは、失っても時間が経てば回復するものである。
 しかし、捕まっている間も魔力が回復しなかったことから、私は魔力そのものを失っていると思っていた。
 だが、そういう訳ではなかったようだ。私の体には、確かに魔力が蘇っている。

「……ホーネリアの使った何かしらの魔法は、私との距離が離れると解けるものだったということなのかしら?」

 私は、そのような予測を立てていた。
 彼女の魔法は、私から魔力を永続的に奪うものだった。しかし、それは距離が離れていると効果がなくなる。そういったものだったのではないだろうか。

 それなら、かなり希望が見えてくる。
 魔力さえあれば、どうにでもなる。魔物も恐れる必要はない。
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