妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
さらに幸いなことに、私の体には魔力が戻っている。
この魔力は、どの国の人間が見ても素晴らしいものだろう。その力を国のために使うと申し出られることは、交渉材料としてそれなりに強力であるはずだ。
「……この辺りか?」
「ああ、そのはずだ……」
「……あら?」
そんなことを考えていると、近くから人間の声が聞こえてきた。
この森の中で、人の声が聞こえる。それは、本来ならばあり得ないことだ。
とりあえず、木の陰に隠れながら辺りの様子を窺ってみる。賊の可能性が高いと思ったからだ。
「……しかし、見つけるのは中々に難しいことではあるだろう。この広大な森で、一人の人間を見つける。それが、どれだけ困難なことか……」
「殿下も無茶な命令をされたものだ」
「だが、無実の罪で裁かれた人間が魔物に食らわれるかもしれないという事実を聞いて、それを助けられなければ夢見が悪いだろう」
「もちろん、わかっているとも。俺もできることなら、その命を助けたいものだ」
木陰から様子を窺った結果、私は森を彷徨っている人間達が何者であるかを理解した。
彼らは恐らく、スウェンド王国の騎士達だ。その恰好や立ち振る舞いから、それは予測できる。
この魔力は、どの国の人間が見ても素晴らしいものだろう。その力を国のために使うと申し出られることは、交渉材料としてそれなりに強力であるはずだ。
「……この辺りか?」
「ああ、そのはずだ……」
「……あら?」
そんなことを考えていると、近くから人間の声が聞こえてきた。
この森の中で、人の声が聞こえる。それは、本来ならばあり得ないことだ。
とりあえず、木の陰に隠れながら辺りの様子を窺ってみる。賊の可能性が高いと思ったからだ。
「……しかし、見つけるのは中々に難しいことではあるだろう。この広大な森で、一人の人間を見つける。それが、どれだけ困難なことか……」
「殿下も無茶な命令をされたものだ」
「だが、無実の罪で裁かれた人間が魔物に食らわれるかもしれないという事実を聞いて、それを助けられなければ夢見が悪いだろう」
「もちろん、わかっているとも。俺もできることなら、その命を助けたいものだ」
木陰から様子を窺った結果、私は森を彷徨っている人間達が何者であるかを理解した。
彼らは恐らく、スウェンド王国の騎士達だ。その恰好や立ち振る舞いから、それは予測できる。