妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。

　その会話から、彼らは人を探しているのだろう。
　そして、それはもしかしたら私のことかもしれない。

「……失礼」
「む？」
「何奴……」

　数秒考えてから、私は彼らの前に姿を現すことにした。
　突然、森の中で女性と遭遇する。その出来事に、彼らは驚いていた。
　しかし、すぐにその表情は変わる。安心したような喜んでいるような、そんな表情になったのだ。

「あなたは……フェルーナ・エルセンド公爵令嬢様ですね？」
「ええ、ドルマニア王国から追放された元聖女です」
「……まさか、こんなに早く巡り会えるとは。ご無事で何よりです」
「ありがとうございます……」
「私達は、スウェンド王国の騎士です。アグナヴァン・スウェンド王子殿下の命令で、あなたを探していました」
「なるほど……」

　やはり、騎士達が探していたのは私だったようである。
　どうやら、私の書いた手紙は思った以上に効果があったらしい。まさか、アグナヴァン様がここまでやってくれるとは驚きだ。