妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
 私は、馬車に乗っていた。
 森でスウェンド王国の騎士団達と会った結果、こうなっているのだ。

「さて、事情を説明するべきでしょうね」
「ええ、お願いできますか?」
「もちろんです。そのために、こうして同乗させていただいているのですから」

 私の馬車には、森で会った騎士の内一人が乗っていた。
 彼には、何が起こっているのかを説明してもらうつもりだ。私も、色々と知っておきたいのである。

「とはいえ、事情はとても単純なものです。発端は、あなたが出した手紙でした。トルフェニオ・パストマン教授は、あなたからもらった手紙の暗号を読み解き、アグナヴァン王子殿下に手紙を出したのです」
「手紙は、先生にきちんと伝わっていたのですね……安心しました」
「教授も驚いていたそうです。まさか、遊びで教えた暗号がこんな所で生かされるとは思っていなかった。そう言っていたようです」
「ええ、私も思っていませんでした」
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