妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
 アグナヴァン様の言葉に、私は息を詰まらせた。
 彼が何を言おうとしているか、それはなんとなく察することができたことだ。
 しかし、いざ言われると固まってしまう。やはり、衝撃が大きかったのである。

「私は、あなたに婚約を申し込みたい……あなたに、この国の次期王妃となってもらいたいのだ」
「王妃ですか……」

 続く言葉に、私はさらに震えることになった。
 時期王妃になって欲しい。そんなことを言われて、平静でいられる訳がない。
 だが、落ち着くべきである。彼は冗談を言うような人ないはずだ。この真剣な告白に対して、私は答えを出さなければならない。

「……私は、ドルマニア王国の罪人です。そんな私を王妃にするのは、かなり難しいことであると思います」
「あなたの罪が無実であることは、いずれ明かされる。私が必ず明かしてみせる」
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