妹の方が聖女に相応しいと国を追い出されましたが、隣国の王太子に見初められました。今更戻って来て欲しいなどと言われても困ります。
 私とアグナヴァン様は、大樹の元まで来ていた。
 そこには、先生がいる。やはり、大樹を調査しているようだ。

「先生、少しいいですか?」
「おや……」
「うん?」

 声をかけてから、私は少し違和感に気づいた。
 この大樹からは、闇の魔力は完全に払ったはずだ。それなのに、闇の魔力の気配がする。

「……え?」

 そこで、私はその闇の魔力がどこから発生しているかを理解した。
 闇の魔力の気配は、先生の方からしているのだ。

「失礼します」
「くっ……」
「なっ……!」

 私は、即座に先生に手を伸ばした。
 突然の行動だったためか、彼は抵抗することもなかった。そのため、そのまま私の魔力が彼の体を包み込む。

「ぐあっ!」
「フェルーナ殿、何を?」
「アグナヴァン様、大丈夫です。ただ、先生の体を汚染している闇の魔力を払っているだけですから」
「何?」

 私の言葉に、アグナヴァン様は目を丸めていた。
 彼は、闇の魔力を感じ取れない。この状況をすぐに理解する方が無理だろう。
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