弁護士は相談料として愛を請求する
第一章 幼馴染みの要求
薄暗い間接照明は必要なかった。
満月、そしてビルの高層階。大きな窓からその輝きだけで彼の顔がよく見えた。
見慣れたはずの彼は知らない人のようだった。
私の胸元に伏せていた顔を上げて、色気を漂わせた目で私を射貫いた。
もう逃げられない。敏感になった身体がうずく。彼の手が見えないところで動いてる。
「……あ、ああ……」
「気持ちいいか?」
「うん。でもそこ触ると変になる……」
「そうか。じゃあ、もっと触ってやる」
こんなはずじゃなかった。どうして?今日でのんから卒業するって宣言したはずだった。相談料ってどうしてこれって……おかしいよ。
「そろそろいいか……」
なんどか頭が真っ白になって、ハクハクしている私を見て、準備をした彼が覆い被さる。
「すず大丈夫だ。何も怖くない」
聞き慣れたフレーズ。彼は私の全てを覆した。
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