弁護士は相談料として愛を請求する

「昔話しただろ。俺、保育園を継ぐのがいやでさ、ひとりっ子だったから親が期待してたけど、どう考えても子供と戯れる毎日なんて俺の人生じゃないと思って、頑張ってこれでも勉強したのさ」

「あー、そう言えばそんなこといってたね。言われてみれば、思い出した」

「だろ?倉田あの頃は保育士になるとは言ってなかったよな?」

「そうね。結局消去法?男の人が少なくて、大人が少ないところはそこしかなかった」

「アハハ。消去法ね。確かにそうかもな。でも、お前に合ってると思うけどな」

「うん、合ってるかどうかは別として、子供は好きだよ。でもまさか佐竹園長が佐竹君のお父さんだったなんて、知らなかった。私が鈍いだけ?近所なんだから当たり前だよね。もう少し考えろって感じだよねえ」

「まあ、園長の名前なんて知らないだろ、わからないよ」

「これから、何かあったらよろしくね」

「ああ、実は若い女の先生久しぶりだから、何かあったら頼むぞって父さんから言われてた。倉田、念のため聞く。お前付き合っている奴いるのか?男が相変わらず苦手?」
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