弁護士は相談料として愛を請求する
ハッキリ言って彼と付き合う気はない。でも同じクラス。どうやって言うべきなんだろう。のんに相談しないと宣言したあの日以来、のんから連絡がない。やっぱり私なんてどうでもよかったんだと痛感した。志穗にも話していない。
その保育士の彼が週明けから豹変した。背中とか腕をすれ違いざま触られるようになって、私が手で払ったことが何度かあった。
子供達が帰ったあと、勇気を出してそういうことをやめて欲しいと言ったら、キスもしたくせにと言われた。頭にきてあなたと付き合う気はないとはっきり断ったら、言い返されてしまった。
ドアも開いていたのに声が大きかったんだろう、隣の部屋の保育士がその場を見ていたらしく、教務主任に話がいってしまい事情を聞かれた。
若い人が少ないからそういうことじゃないかと思ったと年配の女性の教務主任に言われた。
次の日、園長に呼ばれた。
「倉田先生。野田先生とのこと、教務主任が話していたのは本当ですか?背中を触られたり、ボディタッチが増えているって」
「……すみません」
「いや、謝るところじゃないでしょ」