弁護士は相談料として愛を請求する

 志穗も同じ中学。だから、佐竹君のことは知っている。彼ももちろん知っているので、挨拶くらいいいだろうと思ったのだ。志穗は涼君に付いていくので、転職する。それで今は時間がない。だから八時以降ならというので、それまで彼と話していた。

「倉田、だから気をつけろと話しただろ。向こうでも出入り業者に言い寄られていたらしいじゃないか。こっちに来てすぐこのありさま。お前、綺麗だもん。俺がついてるからもう一度躊躇なくバッサリ振ってやれ!」

「なんか、佐竹君。どこかで聞いたようなそのフレーズ。いや、なんでもない」

 まるで、のんみたい。バッサリ切れだの、ハッキリ断れだの、まるで一緒だよ。のんの代わりに私の所に神様がよこした弁護士?いやいや、そんなわけないでしょ。それにしても似てるよ、口調。

「倉田、お前さ、彼氏作った方がいい。というか、彼氏いなかったのか?そんなに綺麗でいないなんて変だ」

「……あの、綺麗なんて言われたことないんですけど」

「何言ってんだよ、じゃあどうしてこう立て続けに告られてるんだよ?」

「知らないよ、私が教えて欲しい」
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