弁護士は相談料として愛を請求する

「なんだ先生、本当に彼女が好きだったんですねえ。それなら、さっさと告白しなさい。彼女が大変になりますよ。実はね、あちらの保育園の担当弁護士は園長の息子さんでね、倉田先生の中学の部活の同級生でペアを組んでいた?とか言ってましたよ。その彼が、彼女を助けているらしいです」

 中学の部活の同級生?ペア?まさか……。すずが唯一、俺以外で手を繋いだり出来た男がいる。それが、佐竹遼平。テニス部の男で、すずとミックスダブルスを組んでいた。あいつじゃあるまいな?

「……まさか、佐竹遼平じゃないですよね?」

「ああ、そうです。佐竹園長のお子さんですからね。あれ?もしかして、そうか、幼馴染みだから同級生でしたか?」

「……」

 俺は両手を握りしめて嫌な予感をかみしめた。佐竹は中学時代からすずを気に入っていた。

 ミックスダブルスを組んだ頃はまだあの事件前だった。すずがあの事件後、男性恐怖症になってからも無理に近づかないで気を配り、すずは佐竹とハイタッチしても平気なままだった。

 あいつだけは、すずと男としてうまくやっていたんだ。まずい。あいつに今再会させると……。しかも、あいつが弁護士?

「古川先生?」
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