弁護士は相談料として愛を請求する
「よかった……。すずが笑った。お前に泣かれるのはマジ勘弁。俺がおかしくなる」
「のん……」
高台へ二人で手を繋いで登った。
高校時代、一緒に来たことがある。あの時もこうやって手を繋いで、嬉しかったな。
のんは彼女が出来そうで辛かったけど、あの手の温もりや、私にはいつも時間を空けてくれる変わらない優しさにずっと甘えて来た。
彼女が出来ても、別れてもそれは変わらなかった。でも……もうそれもお見合いしたり、結婚したらきっとおしまいなんだよね。
「わあ、綺麗。夏の星座が見えるよ。夏の大三角形だ」
「ああ、今日は完璧だな」
「うん、ありがと。見に来たかったの。悩みを吹き飛ばしてくれるから……」
黙って見上げている私の横顔をじっと見つめている。