弁護士は相談料として愛を請求する

「さあ帰ろう」

 二人で車に乗り込んでのんのマンションへ入った時だった。

「そうだ、お前、保育士に触られたってどこ触られた?」

「え?あ、背中とか、手とか、頭ポンポンとか……」

「それだけ?告白されたんだろ?まさか一緒に出かけたり、この間の時みたいに……」

 まずい……。キスのことを言ってる?本当に避けられなかったんだもん。

「おい、すず!」

 怖いよー、耳を押さえた。のんは暗がりに光る目で見てる。私が目を逸らした瞬間「やっぱりな……」と言ってため息をついた。

「俺の女性クライアントも、最初相手に隙を与える何かを許してそうなるケースが多い。大抵キスとかされて……すず、まさかお前……」
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