弁護士は相談料として愛を請求する
彼女として
翌朝。バタバタと音がする。何だろ?
寝ぼけ眼でベッドの隣を見ると、すでにのんはいなかった。リビングへ行くとシャワーを浴びたんだろう、髪が濡れたまま、ワイシャツを羽織っている。
甘い雰囲気は何処へやら、私を見るなり毒づいた。昨日の話は嘘かと思うほどだった。
「すず、お前のせいだ。あとで責任取れよ。昨夜、お前のことを園長から聞いてから、仕事のことすっかり忘れていた」
「は?」
「今日アポがあることすっかり忘れて、お前を迎えに行ってそのまま……全く準備出来てない。あー、すず、どうしてくれる……」
「……」
それのどこが私のせい?心配かけたかもしれないけど、すぐに来てくれなくても大丈夫だった。志穗がいたもん。そうだ、寝てたし。
「急いで事務所へ行く。すず、罪滅ぼしに飯でも作っとけ」
「いつ帰ってくるのよ?」