弁護士は相談料として愛を請求する

「……ず、すず!」

「……うるさいなあ、眠いんだよう」

「何が眠いんだよう、だ。俺だって眠いわ!」

 目をこすって薄目を開けたら、そこにはいつ帰ってきたのか、ネクタイを外しながらのんがこちらを見ていた。

「あれ?おかえりなさい」

 キョロキョロすると、日が少し翳っている。もしや、夕方?

「……すず。お前、何してんだよ。でも、いい匂いがするから何か作った?」

「残り物でスープを作った。でも、作り終えて休もうと思ったらいつの間にかまた寝ちゃったよ。あー、お腹すいた。何も食べてない」

「だから、何か買うものあるかって連絡したのに、既読にならず、電話しても出ない。お前、昨日から俺に心配かけて白髪にさせたいのか?」

 飛び上がってのんにしがみついた。
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