弁護士は相談料として愛を請求する

 のんはそう言うと、キッチンへ行って、ごそごそし出した。

「あったぞ。一昨日買ったフランスパン。まだ食えるよな?」

 私はパンを奪い取ると、状態を確認した。

「うん、大丈夫じゃない?フランスパン買うんだ?」

「結構、日持ちする。キチンとしておけば大丈夫だから。酒のつまみとこれで結構イケる」

 のんがパンを切って焼いている間に、スープを温めた。ふたりで美味しいといいながらがっついて食べ出した。

「それで、のんはお仕事無事に終わったの?」

「ああ。準備何もしてなくて大変だった。いや、あんな短時間で準備できたなんて、やっぱり俺って天才だったんだな」

「……」

 のんの自慢話は長いので、無視するに限る。長い付き合いで彼の実体を知る私は、そう断定した。そして、無視されるのになれているのんは、すぐに違う話をし出した。
< 144 / 243 >

この作品をシェア

pagetop