弁護士は相談料として愛を請求する
のんはそう言うと、キッチンへ行って、ごそごそし出した。
「あったぞ。一昨日買ったフランスパン。まだ食えるよな?」
私はパンを奪い取ると、状態を確認した。
「うん、大丈夫じゃない?フランスパン買うんだ?」
「結構、日持ちする。キチンとしておけば大丈夫だから。酒のつまみとこれで結構イケる」
のんがパンを切って焼いている間に、スープを温めた。ふたりで美味しいといいながらがっついて食べ出した。
「それで、のんはお仕事無事に終わったの?」
「ああ。準備何もしてなくて大変だった。いや、あんな短時間で準備できたなんて、やっぱり俺って天才だったんだな」
「……」
のんの自慢話は長いので、無視するに限る。長い付き合いで彼の実体を知る私は、そう断定した。そして、無視されるのになれているのんは、すぐに違う話をし出した。