弁護士は相談料として愛を請求する
「ごめんね。最初に謝っておく。きっと失望させる……遙さんに迷惑かけたらどうしよう」
「とりあえず、すずの存在で俺の縁談は消滅させる。頼むぞ」
「パーティーとか無理……。とにかくそういう緊張する大人の世界が苦手で保育士になったのに……」
口を押さえた。言っちゃったよ。のんがグラスを置いて、じっとこちらを見た。
「大丈夫だ。俺がついてる。少し事前に姉さんと一緒に勉強して、対策を考えてから行けばなんとかなる」
「そうとは思えない。私そういうの絶対的に苦手……遙さんからものんのお相手はそういうことを求められる可能性があるような話を聞いていたのに。私じゃ、のんの彼女なんてやっぱり無理だね」
のんは私の言葉を聞くなり、睨みだした。
「じゃあ聞くが、すずは俺がお前以外の女を彼女にしてもいいのか?お前としたことを他の女としてもいいのか?」
私はガタンと音を立てて立ち上がった。