弁護士は相談料として愛を請求する

「事前情報って覚えるの?まさか、パーティーに来る大勢の人の名前と顔?無理、無理、絶対無理です」

「まあ、無理だろう。だから、とりあえず最初は俺と一緒にいればなんとかする」

「頼りにしてます」

 食べ終わった私達は後片付けを食洗機様にお任せして、のんびりコーヒーを飲みながらリビングで並んでテレビを見ていた。

「そういえば、お前最近モテすぎる。あんまりあっちこっちにいい顔すんなよ」

「何それ?保育士は常に笑顔が大切なの。子供達が怯えるでしょ。あっちこっちいい顔するのはのんじゃない。この間だって他の保育士の女の人達ににこにこ名刺配って……」

「俺は、仕事で笑顔を見せないと客が来ないの。当たり前だろうが……」

「それを言うなら私だって社会人として同僚には笑顔で対応してるの。佐竹君は同級生だったし、パートナーだったし、親しいのは当たり前だよ」
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