弁護士は相談料として愛を請求する
「冗談じゃないからな、倉田。俺はいつでも相談してくれて構わない。あ、もちろん保育園のトラブルも今まで通り対応するから心配するな」
のんは黙っている。のんの怒りが飛び火する前に佐竹君はじゃあなと言って手を上げて帰って行った。うそでしょ、ちょっと。
「すずはこの間も仕事をほっぽり出してお前を慰めに行ってやった俺を、今まで何だと思って付き合ってきた?女性関係を知らない?当たり前だ、俺はお前に知らぬふりを何度もされてきた。興味がないふりして知ろうとしなかったのはすずだろ」
「だ、だって……。聞きたくなかったんだもの。のんは私のこと女として見てないって思っていたし」
「違うだろ。お前は俺とそういう関係になるのを意識的に避けてたよな。幼馴染みという箱の中に入って男女交際から隠れていたんだ」
「だって怖かったんだもの。箱から出るといつか別れる……」
「箱から出て付き合うことになったんだぞ。もう逃げても無駄だ。何があっても向き合うしかない。それに、お前を俺が裏切るとでも?そんなこと、出来ると思ってんのか?」