弁護士は相談料として愛を請求する
私はのんに抱きついた。こんなこと言わせた私が悪い。
「ごめんなさい。全部私が悪い。のんを信用してる。でもね、幼馴染みとしては自信があっても、彼女としての自信がない。大学時代の彼女さん、法学部のマドンナだったよね。すごく綺麗な人だった」
のんは私の腕を引いて立ち上がらせると、荷物を持ってお会計を済ませた。外へ出て、歩き出した。
「お前は勘違いしている。これは前にも言った。マドンナとかそんな他人の評価はどうでもいい。俺はすずだから一緒にいるんだ。お前のことで他人の評価はいらん」
「……のん」
私は涙が出てきた。何より嬉しい言葉だった。私自身が好きだと言ってくれているんだよね。見た目でも、中身でもなく、私そのものを肯定してくれている。これこそが何よりの自信になる。
のんは私を抱き寄せ、曲がり角で背中を外に向けて隠してくれた。
「それにしたって、佐竹に相談とか冗談でも聞きたくないね。あいつが顧問弁護士してる保育園なんて今すぐ辞めろといいたいところだ。しかし、あの園長。俺の意図をわかっていながら、お前を他の園に出すとはいい度胸だ」
そう言いながら、私の頬の涙を拭って軽いキスを落とした。