弁護士は相談料として愛を請求する

「はい。遙さん、今日はよろしくお願いします」

「大丈夫よ。今日はとにかく紹介されたら笑っていればOK。とはいえ、笑い続けるのもしんどいのよね。私も経験したからわかる。辛くなったらいつでも言ってね。席外させるから」

「がんばります。でもダメならお願いします」

「もちろんよ。でも嬉しい。やっぱり鈴音ちゃんを望は最後に選んだ。ほっとしたわ。鈴音ちゃん、ありがとう」

 笑顔で私を見てくれた。嬉しいのはこっちだ。こんな綺麗で優しいお姉さん。本当のお姉さんになってくれたらどれだけ嬉しいだろう。昔からそう思っていた。まだ、結婚出来るとは決まってないし、何があるかはわからないけれど。

「そうだ。一応事前に話しておくけど、望を狙っている子も来るの。常にパーティーであの子の側にいるからわかると思う。内務大臣のお孫さんで霜月美姫さんと女優のマリカさん。彼女は造船会社の社長令嬢なのよ……一応気をつけてね」

 聞いただけで青くなった。どうしよう。どうしたらいいの。下を向いて手をにじり合わせた。

「……ああ、ごめん。そんな顔しないで。大丈夫よ、私達も助けるから。ごめんね、鈴音ちゃんには言わない方が良かったね」
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