弁護士は相談料として愛を請求する

「エスコートしてやる。俺から離れるなよ」

「うん。よろしくお願いします」

 広い会場に入ると、まずそのきらびやかさに圧倒され、足がすくんだ。無意識で足が止まり、それに気づいたのんが私の顔をのぞき込んだ。

「大丈夫か?すずは紹介されたら頭を下げて笑っているだけでいい。質問も俺が答えてやる」

 私はのんの顔を見た。手が震える。のんは私の手を右手で叩いて安心しろというように笑顔を見せた。私はただうなずいた。

「義兄さん達はもう囲まれてる。大変だな」

 先ほど、控え室で遙さんに紹介されて、堂本家の方々にはご挨拶させて頂いた。本当に何かオーラが違う。

 社長ご夫婦や遙さんのご主人は普通の人でないとすぐにわかるくらい違うのだ。世界が違うと本当に思ったし、のんと結婚とか本当に無理かもしれないと心が痛かった。
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