弁護士は相談料として愛を請求する
そんな私の気持ちが顔に表れていたんだろう。遙さんはとりあえずのんのために今日は防波堤になってほしいと頭を下げて下さった。そのためにも、今日は頑張る。のんのためだ。
目の前に綺麗な女性が現れた。この人……エントランスでのんとキスしていた女優さんだ。
「望君。久しぶりね。ねえ、お隣の方はどなた?あなたがエスコートしてくれないから私今日は困っているのよ」
「ああ、マリカさん。紹介しますよ、彼女は私の交際相手です。倉田鈴音さん」
彼女の大きな目がさらに大きくなり、私を上から下までなめるように見た。マリカさんってさっき遙さんが言っていた、社長令嬢。女優で社長令嬢って……。とにかく、挨拶しなくちゃ。
「……初めまして。倉田です」
声が震えた。彼女はクスッと笑った。
「あらあら、そんなに緊張されなくても大丈夫よ。こういう場は初めて?背中を丸めて歩くとその装いにはおかしく見える。望君も可哀想よ。疲れたなら座っていたら?私が代わってあげるわ」