弁護士は相談料として愛を請求する

「……」

 私は気圧されて何も言えなかった。

「彼女はこういう場に出るのは初めてだから多めに見てあげて下さい。それに、僕は彼女がいてくれればどんな姿でもいいんです。今日はようやく彼女を紹介できてとても嬉しいですよ」

「こういうところで初めてお目にかかったけど、本当に彼女さん?」

「彼女は僕の幼馴染で保育士です。普段は子供達と追いかけっこしているからこんな煩わしい世界とは無縁ですよ」

「……幼馴染?そう、それでわかった。最近、望君を狙う女性が多いから、虫除けで彼女に頼んだんでしょ。すぐにばれるわよ」

 すると、そこへ年配の男性と綺麗な若い女性が現れた。

「古川弁護士。久しぶりだね」

「霜月大臣。お久しぶりです。美姫さんも……」

「古川さん、会いたかったわ。ねえ、今日この後一緒に行きたいところがあるの。お付き合いお願いできる?」
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