弁護士は相談料として愛を請求する
「すずせんせいがママになるのがいいな。パパにいったの」
「それは困ります」
「まあ、即答は無理でしょう。実は理由があります。堂本コーポレーションとうちの会社は合併予定なんです。できれば副社長夫人の幼馴染さんと結婚させてもらえると政略結婚ですがうまく運ぶんです」
「……そんな、私は無関係です!」
「いや、そんなことないでしょ。親父もあなたを気に入っているし、匠副社長もそうだ。この間の人と特に結婚が決まってないなら……」
「とにかく嫌です」
「どうして?しゅうのママになるのがやなの?どーして?」
私の怖い顔と拒絶を見た修也君は大きな涙を流して泣き始めた。まずい。言い方がまずかった。
「あ、ごめん、修也君」
私は抱き寄せて背中をさすった。
「倉田先生、ここはとりあえず話だけ聞いて、そのことはまた大人だけでね」
教務主任に目配せされて、私はうなずいた。まさかそのことが大きな事になるとは思ってもいなかった。