弁護士は相談料として愛を請求する
「ねえ、聞いてる、のん?」
いつものバーで三ヶ月ぶりに待ち合わせた。
茶髪にシルバーラインの細いフレームのメガネ。
横顔は学生時代と随分変わってしまった。彼の名前は古川望。あだ名はのん。
彼の実家は私の実家から三軒先。いわゆるご近所さんだ。しかも同い年で、一緒に学校へ通った。
彼は弁護士になって、私は保育士になった。
彼は弁護士の試験を受ける一年くらい前からなかなか会えなくなった。
試験に合格し、研修を終え、親友と一緒に四人でお祝いしたのが三ヶ月前。二人で会うのは本当に久しぶりだ。
私は星を見るのが好きで、中学時代ひとりで夜空を見に行った日、社会人の若い男の人にいたずらされかけて、助けられたのはいいがそれ以降男性が怖くなった。