弁護士は相談料として愛を請求する
のんがまず口を開いた。
「宝田社長。頭を上げて下さい。ありがとうございます。僕が来る意味はなかったですかね」
「ああ、いや。うちの息子にはあなたの姿と話を聞かせる必要があるでしょう。倉田さんはお綺麗だし、修也が懐いてしまって、倉田さんの保育園にまでおしかけて騒いでいるらしいね」
私は言いづらかったが、本音を伝えた。
「修也君は可哀想ですが、保育士のひとりを個人的に母親にするという話をされるのは正直困ります」
「そうですよね。営業妨害でしょう。園長も息子がどうしようもないから、私に連絡をしてきました。全く、困った奴で、修也がそれを見て育つのが心配でならない」
「確かに、社会通念を教えるのに、父親が外れていると男の子ですからあまりよくはないですね」
のんったら、相変わらず遠慮がない。言い終わるとコーヒーをすすってる。宝田社長はため息をつかれた。
「息子はおそらく古川弁護士が話せばそれで終わりです。問題は修也なんです」