弁護士は相談料として愛を請求する

 その通り。私も困っている。でも、ハッキリさせる必要はある。私は彼にとって母親にはなれないが、保育園の担任にはなれると。ここでぐずられるとそれもできなくなるかもしれない。

 そのことを社長にお伝えすると、頷いて下さった。

「そうですね。これ以上ぐずると保育園にいられなくなり、倉田さんにも会えなくなると話しましょう」

「修也君がお母さんを欲しがっているのはしょうがないことです」

 すると、ノックの音がして修也君のお父さんが入ってきた。

「あれ、もう始まってたんですか?お父さん、時間間違えて教えましたか?」

「いや。先におふたりとお話ししていたんだ。お前、早かったな」

「そんなことじゃないかと思いましたよ。当事者じゃないお父さんは口を出さないで下さい」

「おい、一也……」
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