弁護士は相談料として愛を請求する

 彼はつかつかと歩いてきて、目の前のソファに座った。

「古川弁護士。弁護士として来られたんですか?」

 のんは彼をちろりと見て、ため息をついた。

「副社長は修也君を利用して、あなたへ全く気持ちがない倉田と結婚出来るとでも本当に思っていたんですか?」

「僕は最初から見合いみたいなものだと彼女に伝えてますけどね。僕は彼女が気に入ったし、修也も母親として彼女を認めた。見合いは形から入るもの。気持ちはあとからでもいい」

「副社長。すみませんが、私はあなたを好きになれるとは思えませんし、私、結婚は古川君以外とはできないので無理です」

「おふたりは婚約しているわけじゃないんでしょ。それなら、別に……」

 のんが話そうとしたのを私は手で制した。

「宝田さん。申し上げてませんでしたけど、古川君がプロポーズしてくれなければ一生結婚しません」
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