弁護士は相談料として愛を請求する

「やっと気づいたか。あほすず」

「のんったら!」

 のんは私を後ろから抱き寄せて首筋にキスをした。

「すず」

「何?」

「お前の親父さん、ここにこうやって来ているの知ってるのか?」

「お母さんには伝えてる。のんと付き合ってることや、堂本のパーティーに出たことも含めて」

「まあ、うちの親も知ってることだ。お前と付き合ってるのは姉さん経由で耳にしてるはず」

 のんは私を自分の方に向き直らせて、顔を見合わせた。

「まあ、いずれきちんとするからもう少し待っていてくれないか」
< 212 / 243 >

この作品をシェア

pagetop