弁護士は相談料として愛を請求する
「弁護士になるんじゃなかったのか?法律事務所でバイトしてただろ?」
「そうね。望と別れてからあそこの弁護士と少しだけ付き合ってたの。それで、勉強する時間がなくてね。まあ、ちょっといろいろあって……」
嫌な予感がする。
「お前、まさか……」
「まあね、もう別れたの。奥さんが騒いでしまって、別な事務所へ移るつもりで捜しているの。そうだ、望。事務所紹介してよ。あそこの事務所パラリーガル募集してるでしょ。それを見て面接受けようと思ってたの。お願い、この通り」
珍しく、手を合わせて俺に向かって拝んでる。やっぱり不倫か。もしかして慰謝料とか請求されてるんじゃないだろうな。
「トラブルを持ち込む女はだめだ」
「それは解決した。当たり前じゃない。こっちだって迷惑したのよ。あっちも悪いの。執着されて大変だったんだから。その点、望はさっぱりしていて寂しいくらいだった。この私が引きずってるのよ」