弁護士は相談料として愛を請求する

「何言ってんだ。それならなおさら、俺のとこに来んな」

「あら?そんなこと言っていいのかな?私、どれだけあの子のために譲歩したと思ってんのよ。今度こそ、譲歩はやめようかな。望フリーになったんでしょ?」

「そうじゃない」

「何が?あの子、宝田の副社長の後添いになるんでしょ?一応未来の社長夫人だもんね。玉の輿だ」

「……だから、違うんだよ。ああ、もういい。とにかく、俺は行くから」

「近いうちに伺うわ。根回し頼むわね」

「祐子お前……うちを受けるとか本気なのか?」

「何、いけない?今度こそ、弁護士試験受け直したいから、勉強も教えてくれそうな元カレがいる事務所だもん。絶対受かってみせる」

 祐子が落ちるわけない。このスペックだ。事務所の看板娘になる。
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