弁護士は相談料として愛を請求する

「彼女のことだけどね、君の下がいいと言ってたんだよ。まあ、元カノだと言ったから採るのやめようかと思ったんだけどね、いや、知識は豊富だしあのルックスは事務所の武器になる。悪いね、釘刺したから適当に頼むよ」

 背中を叩きながら耳元で言う。

「はあ。担当を外して頂いたことは本当に有難いです。彼女が有能なことは事実です。平穏な事務所生活を送りたいのでよろしくお願いします」

「うん。でも、彼女がその気だと君こそ気をつけないとね」

 怖いこと言わないで欲しい。あいつは頭が切れる。寝ぼけてると食われてしまう。

「大丈夫ですよ、もうこういうのはこりごりです」

「あはは。副社長からも君のこと大切にしてやってくれと言われてるからね。大切にしてるだろ?感謝してくれ」

 呆れた。まあ、あいつを採るのは想定内。担当を外してもらっただけでも感謝するしかないな。

「もちろんです。ありがとうございました」

 
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