弁護士は相談料として愛を請求する
「祐子、俺にはお前だけなんだよ!お前が好きなんだ!どこにもやらないぞ!」
周りの人は酔っ払いとカップルのじゃれ合いだと思ったらしく、チラッと見ては通り過ぎる。ふと彼女が身体をよじったときに顔が見えた。とても綺麗な人。どこかで見たことがあるような……。
「痛い、やめてよ。弁護士のすることなの?こっちの弁護士に依頼してあなたを……」
「ふざけんなよ、祐子!」
彼女の顔をつかんで自分の方を向けている。彼女は足をバタバタさせて本気で嫌がっている。相手は弁護士?
のんのことが頭に浮かんだ。これが同じ職業の人なの?嫌がっている人の身体を触るとか考えるだけでぞっとする。
私はどうしてもそのままにしておけなくて、通りを渡って向かった。
「……ちょっと、すず!?何してんのよ、あんたまさか……」
志穗が止めるのも聞かずに、私は通りの反対へ渡っていき、その路地にいる女性を抑えている男性に言った。