弁護士は相談料として愛を請求する

「やめて下さい。彼女、嫌がってます。弁護士さんなんですよね?そういうことがいけないことだって誰より知ってるはずでしょ?」

「誰だお前?」

 確かに弁護士だ。のんの胸元で見たことのある同じバッチを付けた男の人は、私の方に向き直った。そして私の肩に手をかけた。

「……話に入ってくるな。邪魔なんだよ」

 肩をぎゅっと掴まれて勢いよく押された。身体ごと後ろによろめいた。でもそのせいで、彼女の拘束が解かれた。彼女は私の方を見て言った。

「ねえ大丈夫?……ちょっと、浩二!あんた、何してんのよ」

 すると我に返った彼はまた彼女に身体を向けて手を伸ばした。私は思いっきり男の人の足をふんだ。

「いってえー!」
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