弁護士は相談料として愛を請求する
「逃げよう」
志穗が私の腕を引っ張り、逃げようとしたので、私は彼女を見て言った。
「行きますよ!一緒に逃げましょう!」
彼女はあっけにとられた顔をしていたが、荷物を拾って一緒に通りを駆け出した。
男性は何事か大声を出していたが、私の蹴った足が相当痛かったのかもしれない、追いかけては来なかった。
相手は弁護士、よく考えたらあとで暴行罪に問われたらどうしようと思ったがすでに遅い。
角を曲がってカフェに飛び込んだ私達はハアハアと息を切らして顔を見合わせた。
志穗が私に向かって怒った。
「ハアハア、すず、ちょっともう……あんたね、男が苦手のくせしてどうして……」
私は目の前の綺麗な女性に言った。