弁護士は相談料として愛を請求する

「え?」

「週明けの月曜日、仕事終わりに保育園へ行く。全て片を付けてやる」

「は?」

「すずはそうやってきちんと相手に言うべき事を言えないから面倒を起こすんだ」

「面倒なんて起こしてませんが!」

「面倒じゃなきゃ自分で片付けられるだろ。脇が甘い。反省しろ」

「……はい、ごめんなさい」

 いつもこうやって怒られては反省する。でも、のんを見ると安心する。私にはのんがいる。

 処女をのんにあげたことは後悔なんてひとつもない。のんは私にとって色んな面で特別な男の子。だから相談料と言われたらそうかと頷いてしまった。昨日も言ったとおり、学生時代からくだらないことで散々忙しい彼を呼び出して、迷惑かけてきた自覚はある。

 でも、結局処女をあげることで予期せぬ男女の関係になってしまった。嬉しいような怖いような……親友の志穗に聞かれたら怒られそうだ。
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