弁護士は相談料として愛を請求する
ママはのんといまだにしょっちゅう会っている私に、のんと結婚してくれたら嬉しいと冗談のようにあちらのお母さんに言っているらしい。恥ずかしいったらない。男性という理由だけであちらにとったら迷惑この上ないだろう。
正直、のんはあんなことがあっても何も言ってこないんだから、何を期待しろというのだ。大学時代だってすごく綺麗な同じ法学部のマドンナと付き合っていた。どうしたらこんなちんちくりんの私とつきあうってことに?
結局のんにとったら処女はただの相談料……。部屋に戻って服を片付けてベッドに座り携帯を開けたら、志穗から連絡が来ていた。
『おとといはどうだったー?久しぶりの望君とのデート、楽しかった?』
ため息しか出ない。志穗は中学時代からの親友。家もそう遠くないので、望のことも知っている。
私が望に影でこき使われていたことや、私がそれでも何かあれば望に頼りきりで、幼馴染みからそろそろ卒業して彼氏を作ろうとずっと言われ続けてきた。
幼馴染みというポジションでいるしかないとわかったときから、気持ちに厳重な鍵をかけてある。志穗はそんな私を見て、他の男性を紹介してくれるようになったが、これまたうまくいかない。