弁護士は相談料として愛を請求する
「すず?今大丈夫?」
志穗だ。
「志穗。どういうこと?昨日、あのバーにいたの?」
「いるわけないでしょ。ふたりをのぞき見るなんて絶対しない。あんたたち、馬鹿だから気づいてないだけだよ。まじで近くで見てるとうっとうしいから」
これだよ。望と同じくらいの毒舌。ふたりは喧嘩するとすさまじい。口から生まれてきた者同士だと思う。
実は志穗はラジオ局のアナウンサー。口から生まれてきた人には天職かもしれないね。
「ちょっと、あまりに見てきたかのような発言でびっくりしたの。昨日というか、おとといはちょっとね……」
「もしかして、マンションへ行ったということは泊まったんだね?」
私ってやっぱりちょっと馬鹿。エサをまいているようなものだね。だからのんから注意深さがないとか脇が甘いとかいつも言われるんだよね、きっと。
「酔っ払ってしまってね。連れて行ってくれたの」