弁護士は相談料として愛を請求する

「とうとう……そう。で。彼はどうだった?もちろん、マンションのことじゃないよ」

「……志穗、あの」

「望君が部屋にすずを連れ込んだってことは、そういうことでしょ?」

「まあ、そういうことになったけど、これからのことは何も言われてない」

 私が言いたいのは、関係は持ったが、恋人にはなってないという意味。わかってもらえたかな?

「……まさか、やり逃げされたの?付き合うってきちんと言われてないの?」

「志穗。ハッキリ言いすぎる。正直堪える……」

「すず、いい加減にして。もしそれが本当なら、涼に望君をなぐりにいかせるから」

「……いいの。とにかく、そのことは私が月曜日にもう一度会うのでキチンと聞いてみる、つ、つもり」

「はー。相変わらずの弱腰。どうして望君相手だとそうやって弱腰なの?普段は猪突猛進なのに……」
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