弁護士は相談料として愛を請求する

 のんは口が悪い。まさか、余計なことを言ってないでしょうね?すると、私の心配に反して、園長が満面の笑みで答えた。

「いや、先ほど弁護士事務所からご連絡を頂いたんだよ。実はあちらの弁護士事務所は先代から関係があってね、何かあったときたまに相談させてもらっていたんだよ」

 嘘でしょ?

「そ、そうだったんですか……」

「それで事務所長から顧問契約をしないかと打診されてね。古川先生を推薦されて、お話ししてみたら驚いたよ、倉田先生の幼馴染みだって言うじゃないか。これは丁度いいって思ってね。一応今日の夜、良かったら挨拶にきますというのでね、確認しようと思ったんだよ」

 どこまで手際がいいのやら、いつもこうやって驚かされてきた。学校でも先生を丸め込んでいつの間にか規則を変えていたり、昔から頭と口だけはいい。またかと思った。

 保育園の仕事が終わる時間にビシッとしたスーツを着込んだイケメン仕立ての彼がやってきた。私に目配せして、園長先生に案内しろという。何食わぬ顔で立っているのを見たら腹が立って、つい言ってしまった。
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